記念すべき移住者インタビュー第一弾は振草区小林地区にお住いの池田大樹さんです。木工と鉄工を組み合わせた雑貨や家具を作る職人さんです。池田さんは平成29年の10月に神奈川県から東栄町に移住し、小林地区にあった空き家を借りて生活しています。現在のくらしのことや今後の目標など楽しそうに語ってくれました。
移住
―― 東栄町への移住の決め手は何ですか
もともと県外に移住して山があるまちで暮らしたいと考えていて、あちこち移住先を探していました。その中で奥三河の地域に興味を持つようになりました。東栄町を気に入った点は「人」ですね。地域の人も役場の人もみんな温かい人ばかりで居心地がいいなと思いました。東栄町に初めて訪れたのがちょうど小林の花祭の日でした。静かでいい環境だなとは思いましたけど、その時はまさか自分がここに住むことになるとは想像もしていなかったですね。
―― 住まい探しは空き家バンクを利用されたんですよね
そうですね、何軒か物件を紹介してもらっていました。ある日役場の空き家バンク担当の人から「1人暮らしにちょうどいい物件がみつかったよ」と連絡があり、紹介されたのがこの家でした。小さい家だなとは思いましたけど、日当たりも良く周りの眺めもよかったですし、何と言っても庭に生えている桜の木ですね、一目惚れでした!
引っ越しは家財道具と仕事道具をコンテナに詰め込んで豪快に大型トラックで運んできたので、近所の人には何事かと思われたんじゃないんですかね(笑)
↑ご自宅と桜の木
―― こちらでの暮らしは落ち着いてきましたか
移住してから1年以上が経ったので生活の変化にもだいぶ慣れてきましたね。よく停電になったり、買い物に行くのが遠かったりとか色々不便な面もありますけど、もともと山の中での暮らしに憧れていましたからそういうことも大したことじゃないって思えるようになりました。
仕事
―― 今の仕事はいつから始められたんですか
あまりスタートを意識したことは無いですね。こういう技術は実はほとんど独学で、溶接などの鉄工に関しては前職の経験で出来るんですけど木に関してはまったくのど素人でした。たまに日曜大工で扱うぐらいでしたね。2年ほど神奈川で勉強しながら製作を続けた後、東栄町に移住しました。
東栄町に来てからもありがたいことに飲食店のテーブルやイス、個人の方からの注文もあります。オリジナルのアイアン家具などもハンドメイドサイトで販売しています。最近では今の自宅のすぐ近くにあった廃屋を改装して工房をオープンしました。小さな工房ですが、集中して製作に取り組める場所ができてさらに意欲が湧いてきました。
↑ご自宅近くの工房
↑工房内観
―― この仕事の魅力とモットーを教えてください
魅力はやっぱり自分が作りたいものを自分で作れるという点ですね。自分は高品質の木材を使って高級家具とかを作るんじゃなくて、他の職人さんが見向きもしない木目がうねっていたり粗かったりするような木材も使います。そういう木材や古材を使うと良い「味」が出るんですよね!そういう「味」があるモノをどんどん作りたいです。
モットーは「人と違うものを作る」です。なんでもない注文でもどこかに特徴を入れて自分にしか作れないものを作るということを大切にしています。
↑町内の飲食店で使われている池田さん作のテーブル
―― これからやってみたいことはありますか
今すぐというわけではありませんが自分と仲間が作ったモノを販売するセレクトショップを開きたいと考えています。コンセプトを決めてそれに沿ったモノを仲間と作るという感じです。
人との出会い
―― 地域の人たちとは馴染めてきましたか
だいぶ地域には馴染めてきたかなと感じています。近所のおじいちゃんにはまだ厳しいことも言われますけど可愛がってもらえているのかな(笑)。林業センターや森林組合の人たちにも仕事の関係でお世話になっていてこの1年で人の輪が広がってきたなと思います。
―― 地域の同年代の人たちとも仲が良いですよね
そうですね、消防団の活動やイベントで焼き鳥屋さんを一緒に出店したり、居酒屋に飲みに行ったりしていてやっぱり同年代の人たちとのつながりがあると心強いですね。
―― 印象的な出会いを教えてください
奥三河に来て一番大きな出会いは東栄町と自分をつなげてくれた人との出会いでした。もう亡くなられた方なんですが、その人の存在が自分の東栄町へのルーツでしたね。自分に東栄町の知り合いを紹介してくれてそこから人の輪が広がっていきました。その方には感謝しかないですね。
移住を考えている人へアドバイス
気になるところがあるのであれば、何度も足を運んでみるのが大切だと思います。何度も来てその地域のことを知って、そこに住んでいる人たちと関りを持つことで移住後の生活の負担が減ると思うし、充実したものになると思います。