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現代の花祭は一言でいえば祭り場に招いた神々に酒食と舞を献じて種々の願いを奉じる、立願の祭りと言えます。確かにそうなのですが、祭の本質的な部分にはもっと奥深い宗教性があります。 |
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なぜ真冬に・・・ |
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花祭は霜月祭ともいわれ、もともとは旧暦の霜月に行われていました。新暦の12月から1月ごろにあたり、一年で最も寒さの厳しい時期です。実は花祭はこの時期に行うからこその意味があるのです。 |
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花祭の象徴である榊鬼は、その所作の中で「反閇」という大地を足で踏みつける所作を繰り返します。また、花の舞や四つ舞など多くの舞で「へんべ」という所作を繰り返します。これは修験道に取り入れられている陰陽道の呪法のひとつで、大地の精霊を呼び起こす法力があるとされています。 |
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つまり、真冬となって地中に沈み込んだ精霊たちを、この祭りを行うことによって呼び覚まし復活させる「再生」の意味を持ちます。祭の奥深くには、一度生気を失ったものを復活させる「疑死再生」の考え方があったのです。この思想がやがて人間の魂の復活を願う「生まれ清まり」の概念へとつながり、花祭の根本理念となったのです。 |